福祉社会学会倫理綱領
〔策定の趣旨と目的〕
福祉社会学会は、福祉社会学の研究・教育および学会運営にあたって依拠すべき基本原則と理念を定め、「福祉社会学会倫理綱領」として発表する。
本綱領は、福祉社会学会会員(以下、会員)が心がけるべき倫理綱領であり、会員は、福祉社会学に関する研究・教育の進展のため、そして社会の信頼に応えるためにも、本綱領を十分に認識し、遵守しなければならない。福祉社会学の研究は、学際的な複合領域としての福祉領域における人間や社会集団を対象にしており、対象者の人格および人権を最大限尊重し、社会への影響について配慮すべきものである。また福祉社会学の教育・指導をする際には、本綱領にもとづいて、倫理的な問題について十分配慮し、学習者に注意を促さなければならない。
会員は研究者としての社会的責任と倫理、対象者の人権の尊重やプライバシーの保護、被りうる不利益への十分な配慮などの基本的原則に従い研究活動を行うもので、研究の目的や手法、その必要性、起こりうる社会的影響について何よりも自覚しなくてはならない。福祉社会学に関する研究・教育の発展と質的向上、創造的な研究の一層の進展のためにも、本綱領は社会的に要請され、必要とされている。本綱領は、会員に対し、研究・教育における倫理的な問題の自覚を強く促すものである。
第1条〔公正と信頼の確保〕
会員は、福祉社会学の研究・教育を行うに際して、また学会運営にあたって、公正を維持し、社会の信頼を損なわないよう努める。
第2条〔目的と研究手法の倫理的妥当性〕
会員は、社会的影響を配慮して、研究目的と研究手法の倫理的妥当性を考慮しなければならない。
第3条〔プライバシーの保護と人権の尊重〕
- 会員は、社会調査を実施するにあたって、また社会調査に関する教育を行うにあたって、調査対象者のプライバシーの保護と人権の尊重に最大限留意しなければならない。会員は、研究成果の公表においても、調査対象者のプライバシーの保護に最大限留意しなければならない。
- 会員は、会員相互のプライバシーの保護と人権の尊重に最大限留意しなければならない。
第4条〔差別の禁止〕
会員は、思想信条・性別・性的指向・年齢・国籍・出自・宗教・民族的背景・障害の有無・家族状況などに関して差別的な取り扱いをしてはならない。
第5条〔ハラスメントの禁止〕
会員は、セクシャル・ハラスメントやアカデミック・ハラスメントなど、ハラスメントにあたる行為をしてはならない。
第6条〔研究資金の適正な取扱い〕
会員は、研究資金を適正に取り扱わなければならない。
第7条〔著作権侵害の禁止〕
- 会員は、研究のオリジナリティを尊重し、著作権などを侵害してはならない。他人の研究成果やデータ、資料の剽窃・改ざん・盗用をしてはならない。二重投稿をしてはならない。
- 会員は、他者の協力を得て行った研究をもとに成果を公表する場合は、他の研究者や研究協力者の権利を十分に尊重しなければならない。
第8条〔研究成果の公表〕
会員は、研究の公益性と社会的責任を自覚し、研究成果の公表に努め、社会的還元に留意するよう努める。
第9条〔相互批判・相互検証の場の確保〕
会員は、開かれた態度を保持し、相互批判・相互検証の場の確保に努める。
★付則
- 本綱領に関する問い合わせは、福祉社会学会理事会が対応する。
- 本綱領の変更は、福祉社会学会総会の議を経ることを要する。
- 本綱領は2010年5月30日より施行する。